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ハコラム-HA column-vol.6

久しぶりの更新です。
この夏、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
まだまだ暑い日が続きますが体調にはお気をつけて、こまめに水分とってくださいね。
私事ではありますが、8月をもちまして坂田歯科を退職することとなりました。
4年間、少しでも皆さんのお役に立てればと思い診療に取り組んできました。
今後の皆様のますますの健康を願っています。

FEATURE6 寿命が延びたその先に

近年、世界的に人の寿命が延びてきています。
つい100年前などからは想像がつかないほどです。
僕の祖父は大正生まれでしたが、当時の平均寿命は44歳だったそうです。
安土桃山時代からずっと30代だった平均寿命がなぜいきなり80歳以上に跳ね上がったのか。
医療が発達したのは勿論なのですが、それは1928年にペニシリン(抗生物質)の発見されたことによるものです。

人類と病原菌との戦いは300万年以上続いてきました。
ペストやチフスのみならず軽い風邪でも命取りになっていた当時、人々は病に怯え、祈るしかなかったのです。
しかし、偶然カビの一種に殺菌作用があることを発見し、その抽出に成功しました。
後に抗生物質が爆発的に世界中に広がることで感染症の死亡を格段に抑えることが可能になったのです。

しかし、抗生物質で感染が抑えられることが世に広まると、割と軽度な症状の
時にも抗生物質を使用するようになりました。
近年は乱用が指摘されており、驚くことに現在医療現場で出されている抗生物質処方の50%は不適切であるとOECD(経済協力開発機構)は報告しています。
乱用が起こると、今まで抗生物質が効いていた菌が耐性を持つようになり、薬が効きにくい状態が生まれます。
そうすると肺炎など重篤な感染症が起こった時に抗生物質が効かないといった事態がおきる可能性があります。

抗生物質を多用しているのは医科だけではありません。
歯科も抗生物質を処方する機会がとても多いです。とりあえず出しときましょうと処方されることも多いです。
しかし、当院では本当に必要な時以外は処方しません。

 本来体の中にいる菌は膨大な数がいます。
その数は私達の体を構成している細胞の数の10倍とはるかに多い数です。
その菌たちは共存し安定した数を保っているので外から菌が入ってきても悪さできないように防御してくれます。
その菌達は抗生剤の発明からこれまで軽視され、病気の原因は菌だと悪者扱いされてきました。
しかし最近の遺伝子研究の発展により、体の中にいる常在菌が我々の体に
もたらす驚くべき役割がどんどんわかってきています。
細菌は私たちの体の中にただいるだけではなく、癌や心血管障害などの病気からアレルギーやストレス、など一見関係なさそうなものとも関わりがあります。

菌と関連して、様々なヨーグルトがスーパーの売り場に所狭しと並んでいるのをよく見かけるようになったと思います。
ヨーグルトと言えば乳酸菌ですが、以前は「菌は悪者だから、徹底的に戦おう」としていたのが逆転の発想で、「菌がいなくならないんだったら良いやつを増やして悪いやつを入れないようにしよう」という発想に変わってきたのです。
それが最近の腸活ブームです。

乳酸菌にもいろいろと種類がいるらしく、腸で働く乳酸菌や、胃で働く乳酸菌、口で働く乳酸菌などがあります。
ネットで検索するといろいろ出てきますので、興味がある方は見てみてください。
ちなみに私は最近口で働くと言われている『ロイテリ菌』を摂取するようになりました。
こういうのは継続しないと効果が無いようなので飽きっぽい私は少し心配です笑

菌と体との関係は未だ解明されていない未知の領域が多く、将来的により詳しくわかったら人間の寿命はより長くなるであろうことは間違いないと思います。
100年ライフを病気知らずで生き抜く方法はうまく細菌と付き合うことかもしれません。
より詳しく菌のことを知りたくなってしまったあなたにはこの本をおすすめします。